11月から4月にかけて、カタルーニャで盛んに行われる「カルソターダ」。バーベキューのように、集まってカルソッツという野菜 を食べながら楽しく過ごす行事です。
Calçots(カルソッツ)とは?
カルソッツとは「甘い白タマネギ」としても知られるタマネギの一種で、ネギに非常によく似ていますが、その独特の味と細長い形を得るために特殊な工程で栽培されます。
カルソッツを食べる習慣は、19世紀末にカタルーニャ地方のValls(バイス)という町で始まり、20世紀初めには家庭の食卓にもよく登場するようになりました。そして1940年代、その消費がどんどん普及し、今やカタルーニャ全体における重要な食の伝統の1つとなったのです。
カルソターダとその楽しみ方
カルソターダの醍醐味は食べることだけでなく、友人や家族と屋外で集い、周りの環境やカルソッツも含めて楽しいひと時を分かち合うこと。多くの場合はバーベキューと同じように、友人や家族の家のテラスやお庭、あるいは公共のバーベキュー場やレストランで行われます。
本格的なカルソターダで用意するもの:
- カルソッツ:八百屋やスーパーなどで買うことができ、直火で焼いて食べます。
- 「ロメスコ」ソース:カルソッツにつける典型的なソース。アーモンド、ヘーゼルナッツ、ニョラ(唐辛子の一種)、ニンニク、オリーブオイル、酢、パセリで作られ、スーパーでも売っていますが、手作りする人もいます。
- 強い火:よく燃える強い火が重要です。
- 肉やアーティチョークの炭火焼き:カルソッツを焼いた後は、せっかく起こした炭火を使って肉(ブティファラ、ラム肉など)やアーティチョークを焼きます。
- ワイン:質の良いワインを、可能であれば「ポロン」と呼ばれるカタルーニャの典型的な容器で飲みます。
- パン:田舎風のパンを炭火でトーストします。
- デザート:オレンジや、クレマ・カタラーナなどのデザートと、カバ(スパークリングワイン)を用意します。
11月から4日にかけては、上記のものをすべて含むカルソターダのコースメニューを提供するレストランも多くあります。ちなみに、バルセロナ地区でおすすめのレストランはXXXXXXXXXです。
自分でバーベキューのようにカルソターダを楽しみたい!という方は、次の手順を参考にしてください。
- カルソッツの下準備は、緑の葉の部分を切るだけ。洗う必要はありません。
- しっかり火が通るよう、カルソッツをぎゅっと寄せて置きます。白い部分が焼き網の中央に来て、緑の部分が外に出るように置きましょう。
- 全体がよく焼けるよう、焼く面を変えることが重要です。そのためには、材料を挟むタイプの2重の焼き網を使うか、針金を使用します。ひっくり返す時は、カルソッツを横向きではなく縦向きにするのがポイントです。
- 外側が黒くなり、中が柔らかくなったら火から下ろしましょう。食べるまでの間、新聞紙に包んで熱を保ちます。
カルソッツの食べ方
カルソッツについてまず驚くのは、その細長い形に合った瓦の上に乗って出てくることでしょう。これは、瓦の素材が熱を逃がさないというのも理由のひとつです。また、直火で焼くため真っ黒になり、とても食べられそうには見えませんが、食べる前に皮をむくので安心してください。
カルソッツを食べ始める前に、2つのものを用意する必要があります。まず、カルソッツから垂れてしまうソースで服を汚さないためのエプロン。日本では、焼肉屋さんでよく見かけますね。そして2つ目は、ナプキンやウェットティッシュ。カルソッツを食べるのはとても楽しいですが、手がかなり汚れてしまいます(多くのレストランではビニール手袋を用意してくれますが、伝統的には素手で食べます)。
準備が整ったら、さっそくカルソッツを手に取り、次のようにして食べます。
- カルソッツの上の方(葉の部分)をしっかり持ちます。
- 利き手で外皮を下から引っ張ります。
- すると、ホクホクした白い部分がつるんっと現れます。
- ロメスコソースにつけていただきましょう!
カルソッツは、高く持ち上げて白い部分の先端から噛むようにして食べます(カルソターダならではのシャッターチャンス!)。緑の葉の部分に到達したら、その先は捨てます。
バイス市のカルソッツ祭り
カルソッツの世界的な中心地であるバイス市では、40年以上も前から、1月の最終日曜日に「La Gran Festa de la Calçotada en Valls(バイス市の大カルソッツ祭り)」が開催されています。午前中はカルソッツの調理方法を見学でき、ソースの試食から、カルソッツの早食い大会までさまざまなプログラムが用意されているほか、「ジェガンツ(巨人人形)」や「カステリェール(人間の塔)」といったカタルーニャの民俗文化を知り、カルソターダをお得に体験することのできるイベントです。
バイス市には、カタルーニャ地方で最も高い鐘楼を持つ教会があり、人間の塔やカルソターダなど、カタルーニャの伝統に深く根差す文化の発祥地であることからも、タラゴナ県で最も重要な町のひとつとされています。
日本のカルソッツ
カルソッツは世界的に知られていますが、それに似た品種が日本でも栽培されており、特に群馬県にはカルソターダに似た伝統をもつ地域がいくつかあります。実は、なんと「バイス市の大カルソッツ祭り」の開催と同じ日(1月の最終日曜日)に深谷市では「ねぎまつり」が行われ、深谷ねぎを使用した「深谷カルソッツ」が目玉になっています!
一方で、ここ数年、レストランでカルソッツの天ぷらを見かけることもありました。まさに、カタルーニャ料理と和食のすばらしい融合ですね。
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